冬の雨
雨、だ
ぽつぽつ しとしと
わたしの息を
しろく染める
ここちよく染み込む
ぬれた草木、土のにおい
あのひとのいるところでは
この雨が、やさしく
雪をとかしているのだろう
かたくななものを溶かしてゆく
ときに滝のように
荒いときもあるけれど
音もなくふってくるときは
だれかのしずかな涙のようで
はるか北のあの場所では
あのひとの心を
とかしているのだろう
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