ひとひらの六花

つよい風がふきすさぶ
木々のえだ、青空を、わたしを
翻してゆく
冬を殺しながら


まもなく雪がとけるだろう
かがやく氷柱がおれるだろう
わたしにとっての全て

静寂にのみこまれた銀世界
春のはじまりに
殺されてゆく


全てが一瞬
透明になる
萌ゆるみどりに
押しつぶされながら
さいごに舞うひとひらの六花
雪女はそっと見やる


また待っています
とわに巡りゆくあなたを
凍りつくふぶきを身に受けて
わたしが再びめをさますのを




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