さざなみが寄せては
帰するところ
かなしそうに飛び立つ
うみどりを見た
音と音とが交差して
歌はいつのまにか死んでゆく


あれはきっと
わたしがずっと幼いころ
殺した、夢
はじめてだった
なにもかも、すべて
幻の中だった


わたしが通ることで
できていった枯れ花の道
そうじゃなかったはずなのに
探していたのは
淡く光る
せつない幻影だったはず


いつしかいた
何もないうみべで
さざなみがさらってゆく
「無」を見つけた
生まれては
砕けて消える


(うみどりは
 最初から何も
 得てなんていなかった)





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