冷たい

ちりちりと瞼の裏で
音もなく降り積もる白雪をみた
得体の知れぬ安らぎと切なさに
涙は、出なかった
自分の声が怖かった


たくさんの蜘蛛が這いずり回る
奈落に落ちそうな胸押えて
また何回も戻ってみる
死んだ願いを揺り起そうとしてみる
喧騒に引き戻されるたび
わたしが嫌いになってゆく


言葉にならない思いを
なんとか紡ぎだして
そしてあなたの首を絞めよう
でもすべてが終わったら泣いてあげよう
気の迷いに流されて
泣きながら笑ってあげよう


どうかしてるね
いつも心がトリップしてるんだ
コート纏ってマフラーつかんで
凍えそうな雪空の下
灰色に体温が奪われるあの感覚が
悲しくって大好きだった
多くが死に絶える静寂の冷気
熱を失ったあなたの手

ゆるやかな死のもとで

瞼だけが熱かった





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