静かな回想

かえってこない
あなたへ


駿馬が走りゆくように
季節がすぎて
ただひとつ
残ったおもかげは
風にゆれるあの木陰の記憶


最後に会ったのは
そよ風の穏やかな日
わたしの心は
ちっぽけで空っぽで
あんな風
何でもないはずなのに
あなたにすがりついて甘えた
最後だってしっていたから


もう戻ってきてくれないの
ねえ、どうか聞かせてほしい
小さな小さなビー玉のように
ささいな透き通った話
ねえ、どうか会いたい
助けてくれなんていわないから
わたしが迷っているのなら
帰る道しるべを示してほしい






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